『さゆり』


さゆり〈上〉

さゆり〈上〉


さゆり〈下〉

さゆり〈下〉


沁みる良いお話にひたって心の洗濯をしたくなったので、数年ぶり再読。


お話としては、しーみじーみ・・で、
そのままほっておけばそれで済む小説なんですが。
文庫版は構成がトリッキー。


これはインタビューされる女性が回想する物語(自伝)であり、
米国人である筆者が取材して、聞き記しているだけなのです、
と小説中で登場人物が解説し、「ほーう」と思って読んでいると、


実は、その女性の回想物語というのは物語の世界の話であって・・
女性の存在も架空のもの、
内容すべてフィクションです、と、あとがきで紛らわしくかぶせてあって、


さらに日本語訳の担当者が、それを訳しているのは、日本人の私です、
私が本当の訳者です、と、またくる。
あたまが混乱するので、
さしあたっては、ふつうに本文を読むだけでいいと思います。


構成がトリッキーなのは、ここでは置いておくとして。


こんなに、日本、京都、女性、の心情を米国人がこまやかに再現してみせるなんて・・
驚きです。
日本人以上に、繊細に、日本女性の視点から花街を表現しています。
すごいです・・・・・。


ええ話やー・・。