トマト -2-

狂ったように野菜を食べたくなる日が、年に数回訪れる。この日がまさにそうであった。


私は夏野菜が食べたいのだ。是が否でも夏野菜でなければいけないのだ。肉でも魚でもなく、夏野菜なのだ。しかも、今日のメインディッシュはトマトでなければいけない。さもなくば死んでしまう。今日はそういう日なのだ。


自分が食べるべきものは、勝手に、具体的に決まっているので、今日は何を食べようかと迷うことはない。
たまに、食べたいものが思いつかない、とりあえずこれにするか、という選択の仕方をする人がいるが、食べたいものがないなら食べなきゃいいのにと思ってしまう。

体にとって必要なものだったら、自然と食べたいものの妄想が脳内いっぱいに湧いてくるはずだ。いい加減な決心でいい加減に食べるのだったら、そんな食事は体の毒にしかならない。食べ物にとっても失礼な話だ。


この日のランチレシピは、豪華冷やしトマト。水菜とお揚げさんのおひたし。茄子と万願寺唐辛子の麻婆風。
夏野菜をがっつり食べたら、朝の筋肉痛が嘘のように引いていった。