伊豆

三島由紀夫の作品は文体がうつくしい。





「ここが川端康成の“国境の長いトンネルを抜けると・・”の舞台となった名所です」と言われたら、どんなふうに反応しますか。
一応感心する、あるいは、いちいち教えてもらわなくても知ってるよと、したり顔で聞き流す。反応は様々だろうけども。


「ここが三島由紀夫『獣の戯れ』の舞台となった名所です」
これは、微妙です。かなり微妙です。積極的に感心するには、たぶん知らなさすぎる。聞く側にとっては反応しづらいネタ振りだろうと思う。ネタ振りする方も、枕詞として口ずさんだだけで、それ以上は突っ込まれたくなさそうである。


両者の利害が一致して、それ以上、三島の話題に触れられることはなかった。残念。