人の声(1)

何度言ってきたかわからないくらい、あちこちで書いてきたことだが、人の声がどうしても苦手だ。同じ理由で、ラジオやテレビも苦手だ。その延長で、一般に、音楽を聴くのも苦手だ。人の声に怒りを覚えるというと、「調子がわるいんだね」といった感想を持たれるようだが、残念ながら、そうではない・・。


どんな音に対しても、厳正に選り好みしてしまうのであって、嫌なものは嫌なのだ。


フルマラソンを完走できそうなくらい体調がよいとき、道端のドクダミ草に会釈してしまうほど機嫌のよいときでも、人の声をきいているとたいてい気分が悪くなる。物心ついたときからそうだったので、調子がよい、わるいは、関係ないのだろう。


ラジオが流れているときは、一般とは逆の意味で聴覚に集中して、DJの声を排除するよう努力する。
複数人で行ったクラシックコンサートの感想では、皆が口々に褒めそやすのを聞いているかたわらで、私ひとり「あの演奏はここがひどくて、」などとは口が裂けても言えずに、欲求不満ばかりつのる。クラシックのコンサート体験を共有するもんじゃない、と、先日心に強く誓った・・。


それでは自分の声ならばどうかというと、もちろん自分の声が空間を渋滞させることも嫌悪する。ただでさえ方向性の定まらない繁華なところへ、トラフィック量を増大させるなんてもってのほかだ。