夏の嵐(1)

小学校時分は毎日外で遊んでいたからかなぁ、南国の田舎だったからなのかなぁ、今よりも入道雲をみる機会が多かった気がする。そのころは幼心にも、ああ、夏だねっ!と冗談半分に思っていたけれど、今おもうとあれはやっぱり、夏だねっ!そのものだった。


社会人になって、夏休みの境目があいまいになって、なんとなく夏になり、なんとなく猛暑になり。日中はビルや喫茶店にこもっているので、夏のときめきを感じることが少なくなった。
せめてもの夏の風物詩は、蝉の焦燥感満載なじりじりぎーぎー鳴く音。蝉は大阪駅前にもたくさんいる・・。夏だなぁとおもう。


天気がよかったので、布団を干す。
遠くから、かすかに、硬化ガラスへ亀裂の入るような、樹齢三千年の大木が繊維に沿って割けていく間際のような異音がした。空は明るい。天候に異常なし。布団の乾燥具合、良好。


序々にその異音は大きくなっていた。しかしまだ、私の空は明るい。
と、部屋の灯りがまたたきした。電球切れかかったのかな?と沈黙したが、何事もなかったようだ、電球の予備があったかどうか考えていたら、勝手にパソコンが再起動した。


もしかして、雷で一瞬電圧落ちたんだろうか・・ちょっとソワソワする。


先ほどより大きな亀裂音とともに、また部屋の灯りがまたたきした。そして、パソコンが再起動する。これは、明らかに、雷のせいで調子悪くなっている・・。けっこうソワソワしてきた。なんか夏っ!て気がしてきたよ・・!