『告白』(上)〜(下)


ルソーの生き方のより所を告白している箇所が、ちょうど、小川洋子さんの『物語の役割』の主題と、内容も表現も重なっていました。



物語の役割 (ちくまプリマー新書)

物語の役割 (ちくまプリマー新書)


『告白』では、“物語”を心のより所にしながら、さんざんな人生を送ったとみられるかもしれないルソーの人生行路を語っています。


ルソーの現実は決して幸福な人生ではなかったろうけども、少なくとも本人は、“己の希求する物語”抜きの安穏とした幸福よりは、“己の希求する物語”の中で、はた目には不幸せな人生を生きることの方が、物語の無い世界に生きるよりもかえって幸せだったろうと思うのです。