『メイク・ミー・シック』

メイク・ミー・シック (集英社文庫)

メイク・ミー・シック (集英社文庫)


小説家の書くエッセイは、普段の言葉づかいと素の意見がきけて、それはそれで面白い。でも、よほど思い入れのない小説家でもないかぎり、素の意見なんてききたいと思えないのが、私の本音である。有象無象の他人のブログなんてどうでもよいのと同じ理由で。


私は、小説家の書く、“小説”が好きだ。練り上げられた、作品を賞味するのが好きだ。見た目、作品と創作の本人とは微妙にずれていて、それでよいと思っている。よい作家でなければよい作品が出来るわけはないのだけど、仮に万が一、つまらない人間が創作者であったとしても、作品がよければ受け取る側は作品本体を味わっておればよい。

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そんなわけで、近頃“小説”を読みたい欲に火がついている私にしてみたら、エッセイ系のものは敬遠したいところだったのですが、実際、このエッセイを読み始めてから3週間ほど放置したままになっていたのですが。昨日ふと手にして一気に読み終え、ああ、やっぱりいい作家だなぁと思いました。


気品があって、素敵なエッセイです。