マイシャガール美術館 -3-
--- ベルシィ波止場 ---
真っ暗な美術館の前に記されている案内文を確認する。営業時間は、金、土、日、月の11時〜16時半。今日は金曜日。まだ16時半になってない。てことは、今いける?
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『インターホンを押してください。2箇所あります。2箇所とも押してください』
とある。おそるおそるインターホンを押してみた。ほんの10秒ほどで、“いらっしゃいませ”と女性の応答がある。それから3分ほどかかって内側の電気がつき、玄関の扉が開く。
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薄暗い玄関にはテディベア、プーさんのぬいぐるみが所狭しと陳列されている。
受付には家主とおぼしき、ほっそりとした小柄で透明な女性が、満面の笑みで来客の私を迎えている。
でもその笑顔が、どこかつかみどころのない、実体のない手ごたえのない表情で、底なしの赦しを湛えているかのような、こちらが困惑するくらいのやさしさなのである。
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入館料 大人600円 を支払い、奥へと歩み入る。
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