マイシャガール美術館 -4-

seta_tooru2009-07-20

--- 私と村 ---


家主は、それからパタパタ・・細心の注意を払いスリッパの音を立てないよう気遣いながら、せわしく館内を移動し始め、準備にとりかかっているようだった。


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しばらくすると細い音量でBGMが流れだした。ドビュッシーのピアノ小品集。それからまたしばらくすると、古そうなエアコンの音が唸りだした。


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館内、というか宅内は、洋館風に創られていた。シャガールの絵画が壁じゅうところ狭しと並べられている。外観から想像されたせせこましさはなく、むしろ、京都の町屋ではないけどインパクトとしてはそれと同等のものがあり、空間、奥行きともに広々としている。何よりも、圧巻の作品数である。


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“2階もご覧ください”と促され、上がると聖書関連モノクロおびたる展示。シャガールの夢見がちな印象とは対極的な作品がつづく。また、上階には日本国で感じることはないであろう不思議な建築様式の小部屋があり、ロココ調のテーブルと椅子が据えてあった。



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クラシカルなテーブルに打ち置かれている来館者手帳を開いてみる。
来館者の声。
「200X年 5月6日 連休なので夫婦で足を伸ばしてこちらへ寄りました。すごいコレクションですね!感動!」
コアなファンの声がたくさん綴られている様子。だが、詳細にページをめくってみると2008年で月に1回以下の書き込み、今年2009年は、現在7月だが5名ほどの書き込みがあるばかり。


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