想定の範囲外(Ver1.0/2.0)

私はコールセンター係である。エンドユーザのパソコン周りトラブル対応を数年も続けていると、たいていのヘルプコールには即答できるようになる。それは私の頭の中にFAQが蓄積されてきたから、という見方もできるが、エンドユーザのレベルが上がったためと考えることもできる。

やや難儀なトラブルでもユーザは自己解決するようになった。必然的に、ヘルプコールを寄こしてくださるユーザは、解決する方法を調べる方法がわからないユーザ、ということになる。彼らの質問はごく初歩的な内容であることが多いので、答える側はあまり苦労しないで即答できるのである。

かくいう私も実際のところパソコン音痴なので、むつかしい質問をされたら困るなぁと、戦々恐々ヘルプコールに対応しているのだが・・。

パソコン周りトラブルを解決するのに、一番大切なことは現状把握である。「パソコンが壊れた」だけでは、対応のしようがない。

たとえばエラーメッセージは一言一句、正確に読みあげていただく。多いのが、エラーメッセージにご自分の解釈を織り交ぜ意訳して、原本とはかけ離れたエラーメッセージ文を伝えてこられるお問い合わせだ。

しばしば、この勝手な意訳文は、実在のエラーメッセージや、私自身の経験則上にあるまったく関連のないエラー状況と酷似していることがあるので、注意が必要である。エラーメッセージは、表現が少しちがうだけで対処の仕方も変わってくるため、その正確な把握が重要になるのだ。

逆にいうなら、エラーの種別を正確に把握できるところまでメッセージ文を教えてもらえれば、後の文章は聞かなくとも想定の範囲内で対処できるということになる。